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パラフィン加工
伝統的な撥水加工を施す
のれん生地に採用されることが多い防水10号帆布の表面には、
パラフィン加工が施されているのが特徴です。
生地にロウを熱して溶かしたものを染み込ませることで
撥水加工がされるのと同時に、独特の風合いを
出すことができる伝統的な製法です。
使用するロウはミツバチの巣から採取した蝋を生成した
ミツロウをはじめ、櫨の実から抽出した木蝋などがあるほか、
現代では石油から生成された一般的なロウソクを
溶かしたものもあります。
石油から作られたワックスはパラフィンと呼ばれ、
近年になってそれらの加工を布などに施すのを
パラフィン加工と呼ばれるようになりました。
屋外に設置して雨に濡れることも多いのれんですが、
当時の人々の英知によって生地にロウを染み込ませる方法が
考案され、少しずつ形を変えながら現代に引き継がれています。
のれん生地の取扱店でも現代のロウソクを使用しているケースや
伝統的なロウと製法を引き継いでいるなど様々なタイプがあります。
屋外などの設置場所、お店が和のコンセプトを採用しているなど、
細部にこだわりたいケースにおいてこれらの美しさと機能性を
両立した生地を使用したのれんが好まれて採用されています。
経年変化を楽しめる生地
のれん生地として採用されることが多い防水10号帆布は、
繊細かつ大胆な経年変化を楽しめるのも特徴です。
生地にロウを染み込ませることで撥水加工をもたらす
伝統的な製法である一方で、そのロウはちょっとしたことで
ダメージを受けることも確かです。
しかし、それこそが新たな風合いを作り出し、豊かな経年変化を
与えてくれます。防水10号帆布は風に揺られたり、
シーズンオフに片付ける際に折り畳むなどするうちに
生地の表面に加工されたロウが破断して白化したり、
摩擦などを繰り返すうちにまるでチョークが擦られたかのような
白い線を表わすチョークマークが付くことがあります。
それはやがて生地に馴染み、元の色に白色を加えたような
新たな色が見えることもあります。
使用すればするほど変化が見られ、以前とは違った表情を
見せてくれます。特に長年にわたってオープンしているお店で
使用した場合、のれんの表面も年月と共に変化が見られることから、
伝統を重んじたり長きにわたってお客さんから
愛され続けていることを体現できます。
言わばその年輪と言えるのがチョークマークであり、
それを見たお客さんに歴史と伝統の深さをアピールすることができます。
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