赤系ののれん

人間が、日々の生活の中で、あらゆる刺激を
外部から取り入れています。

触れることで皮膚から伝わる触覚、舌で感じる味覚、
臭いによる刺激の嗅覚、音の振動を感知する聴覚、
目から入る情報の視覚の五感と呼ばれる感覚です。

中でも視覚が占める割合は8割以上だとも言われており、
最も大きな影響を与える情報だと言えます。

そのため、色に抱く印象も心理的に作用することがあるのです。

例えば、毒性のあるものが派手な見た目をしていることや
食べ物らしからぬ模様をしていることがありますが、そう感じるのは
本能的なものだと言えます。

逆に暖色系、赤などは食欲をそそる情報として記憶されているのです。

なぜなら、人間が好む新鮮な魚や肉、りんごなどの果物などは
赤みを帯びていることが多いからです。

これが紫だと、腐った食べ物が連想されるため
一気に食欲が減退してしまいます。

これは食べ物そのものだけでなく、テーブルクロスや看板、
のれんなどの周囲の刺激も例外ではありません。

街中を注意深く観察してみると、ハンバーガーショップや
ファミリーレストラン、牛丼屋などの飲食店の看板や
のれんには、赤系統の色が採用されている
ケースが多いことが分かります。

一方、青や紫と言った食欲を減退させる看板などは
中々見つからないでしょう。

実際に、本能的に食欲を増進させる、つまり
お店に入ってみたくなるように選択されているのです。

さらに、焼き鳥屋や出店ののれんとの相性も非常に良いです。
実際にのれんや提灯の定番として用いられています。

なぜなら、彩度も高いため目につきやすく、お店の明かりが
透けることで、より存在感が増すからです。

オレンジの明かりが同系統にまとまるため、高い効果が期待できます。
前述したように、新鮮な肉を連想させるため、焼き鳥屋であれば
美味しそうに感じます。

特別な理由がなければ、目にとまりやすく、本能的にも
食欲に訴えかけてくる赤ののれんに勝てる配色は難しいです。

飲食店にとって、無難かつ鉄板の選択肢だと言えるでしょう。

さて視覚からの情報は人間に多くの影響を与えるものですが、対象があまりにも大きすぎて、またはあまりにも小さすぎて、あるいは見えない所にあるものであると視覚に訴えかけることが出来ません。

例えば山登りをする時に自分がいまどこに居てどこに向かっているのかは、周りの風景を見るだけではわからなくなることもあります。

またミクロの世界や地下に埋まっているものなどは完全にお手上げ状態になってしまいます。

そのためそれを視覚的に分りやすくするために地図や模式図などが使われます。

そういった図にはリアルなものからインフォグラフィックのような分りやすい表現にしたものなどがあります。

このインフォグラフィックは現在では至るところで使われており、例えば、先ほどの地図もそうですし、原子や分子といったミクロ科学的な内容を可視化するためにも用いられます。

これらは近年発達したようにも思えますが、実は人類が洞窟で過ごしていたような古代にも洞窟壁画としてありました。

もちろんそれ以外にも地面に描いたものや木に彫ったものなどもあったのでしょうけど、今に残ったのは、それだったのでしょう。それを見ただけで何を表しているのかが容易に分るので、現代でも幅広い分野で使われているのです。

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